歌唱テクニックの一つ『ロングトーン』。カラオケの採点項目にも出てきますが、決して難しい技術ではありません。
そこで今回は、ロングトーンがどんなものか具体例を交えた説明と、キレイなロングトーンを出すやり方を紹介します。
ロングトーンとは
ロングトーンとは、1つの音を「あーーーー」のように長く発声する歌唱法のことで、主に歌の語尾で使われます。音程や声量がブレることなく安定して発声することがポイントです。
ロングトーンの具体例
ロングトーンはよく使われるテクニックなので、色んな楽曲で聴くことができます。ここでは男女1曲ずつ紹介します。
Queen/Hammer To Fall
これは、映画『ボヘミアンラプソディ』でも登場する、かなり印象の強いシーンです。特に注目はこの動画の最初0:15に出てくるロングトーンです。最初にビブラートを使い、途中からロングトーンになっています。
Superfly/輝く月のように
この曲は全体を通してロングトーンが多く、体力的にもきつい歌ですが、動画の4:45からのロングトーンは圧巻です。このロングトーンは途中で音程を変え、そこからビブラートを使ってます。
歌に存在感を与える一方、注意点も
紹介した楽曲のように、ロングトーンは歌のキメの部分に使うことで効果を発揮します。センスもありますが、主にサビの最後やサビにいく直前、曲の最後などですね。
ロングトーンを使うことで歌の印象をグッとあげるメリットもありますが、一方でデメリットも存在します。その両方をお伝えします。
ロングトーンのメリット
メリット1:伸びのある歌が歌える
ロングトーンの最大の魅力はここです。長く、そして安定した発声をすることで、聴き手にとても伸びやかで壮大な印象を与えることができます。
メリット2:テクニックの合わせ技でいろんな歌い方ができる
ロングトーンは伸ばしている時間があるので、その間に色んなテクニックを詰め込めます。一番有名なのは『ビブラート』ですが、他にも『フォール』『sigh』などを入れることも可能です。
ロングトーンのデメリット
続いてデメリットについてです。
デメリット1:発声がしっかりしていないと聴きづらい
発声がしっかりできていないと、ロングトーンが長くなるほど喉が締まり、歌声の質が下がってしまいます。
綺麗にロングトーンを出すには音程・息量・声量などが安定して出し続けられることが必須です。そのための方法は後述します。
デメリット2:使うところを間違えると締まりのない歌になる
例えしっかり発声できても、なんでもかんでも音を伸ばしてしまうと、締まりのないダラッとした歌になってしまいます。ロングトーンは使いどころと、どこまで音を伸ばすかも重要です。
どこまでも伸びていくキレイなロングトーンの出し方
それでは、ここからロングトーンの出し方を紹介していきます。と言ってもロングトーンを出すだけなら難しくありません。なので、いかに伸びやかでキレイに出せるかの『質』にこだわりましょう。
ポイントは『正しい発声』と『腹式呼吸』
ロングトーンは見よう見まねで音を伸ばし続けると喉が締まりやすく、苦しそうに聴こえますし、喉を痛める可能性もあります。
それを防ぐには、さっきもお伝えした通り、音程・息量・声量などを安定して出すことが大切になります。そのために必要なのが、『正しい発声』と『腹式呼吸』の2つです。
正しい発声というのは、歌う上での基本的な発声方法のことです。地声にしろ、裏声にしろ、あらゆる歌声の基礎になる声の出し方になります。
また、腹式呼吸も『歌に適した呼吸法』と言われるように、歌の上達には避けては通れないものです。
「いますぐキレイなロングトーンを出したいんだよー!」って人もいるかもしれませんが、以上の2つができていないと、質の高いロングトーンは得られません。
『正しい発声』も『腹式呼吸』も、歌を上手くなる上でどうしても必要になります。逆にこの2つができれば、あらゆる歌唱法の土台ができたと言えます。上記を身につけた上で以下の練習にチャレンジしてみてください。
STEP1:少し高めの音でロングトーンを出す
当然個人差はありますが、自分の中で少し高めかなって適当な音で大丈夫です。
参考までに、男性はC4(mid2C)、女性はG4(mid2G)辺りの音です。
まずは、「まあーーーーー」と長めにロングトーンを出してみましょう。
人によっては、音を出し続けるほどに喉が締まったり、声の質が落ちていく感じがするかもしれません。その時の感覚を覚えておいてください。
STEP2:常に発声し続けるイメージを持つ
次にイメージトレーニングです。
最初に紹介した動画のように、聴き手としてはロングトーンは声が勝手に前に伸びていくような感じがします。しかし、声の性質上、声は勝手に伸びていったりはしません。当たり前ですが、声は発声をやめた瞬間に消えます。
なので歌う側としては、声を前に出しっぱなしではなく『常に発声し続ける』イメージを持つことが大切です。それを意識して次のステップに進みましょう。
STEP3:音を連続して発声する
今度は、ロングトーンを出しているつもりで「まままままままま」と、「ま」の音を連続して発声してください。この時STEP2でお伝えした『常に発声し続ける』感覚をここで掴みましょう。
STEP4:上記を踏まえてロングトーンを出す
最後にSTEP2、3でやった『常に発声し続ける』イメージを持ちながら、もう一度「まあーーーーー」とロングトーンを出してみてください。
STEP1の時と比べて音を出し続けるごとに、より声が膨らんでいく感覚がすれば成功です。
慣れるまでは、声が気持ちよく伸びていくというより、常に神経を使って発声しているような気の抜けない感じかもしれません。しかし、この意識がロングトーンの質を上げてくれます。
まとめ
いかがだったでしょうか。
繰り返しですが、ロングトーンは技術的なことよりも『意識を切らさず常に発声し続ける』というイメージを持つことが大切です。声を前に出しっぱなしで投げるように歌ってしまうと喉が締まり、喉を痛めてしまうこともあるので気をつけましょう。