「歌を基礎から学ぼう」と思った時、まず大切になるのは発声です。
なぜなら、基本となる正しい発声ができないことには、それ以上のスキルやテクニックは思うように身につかないばかりか、歌い方に悪いクセがついてしまったり、喉を痛めたりしてしまうからです。
そこで今回は、歌う上で基礎となる発声練習、その中でももっとも基本的な声の出し方を紹介します。
歌の基礎からしっかり学びたい人はもちろん、歌っていて喉が痛くなってしまう人や歌の技術が思うように伸びない人も、この基本を抑えるだけで改善できるのでぜひ身につけてみてください。
発声で大切なのは「息」の使い方
歌を歌う時には、「音程が合っているかな?」とか「声が出ているかな?」など「声」に意識が行きがちです。
もちろん、それらは大切なことなのですが、それ以上にまず意識すべきなのは「声」ではなく「息」の使い方になります。
実際、ボイストレーニングを受けている人からも息の使い方を覚えただけで、「気持ち良く歌えるようになった」「喉が痛くなくなった」「音程が取れるようになった」といった声をよくいただきます。
息を意識することの大きなメリット
歌う時に息使いを覚えることで、得られるメリットが大きく分けて2つあります。
メリット1:喉が痛くなくなる
歌っていてすぐ喉が痛くなる人は、喉を締めて発声したために炎症している可能性がとても高いのです。
歌う時にしっかりと息を出すことができれば、喉が締まりにくくなるので喉を痛めるリスクはかなり減らすことができます。
メリット2:響きのある声が出せる
息を意識した発声をすれば「声量がない」と思っている人でも、かすれたり、こもることのない響きのある声を出せるようになります。
声に響きがあることで聴き手はもちろん、歌う本人にとっても心地のいい歌声になります。
正しい発声のやり方6ステップ
それではここから、息を意識した正しい発声について、具体的なやり方を解説していきます。
STEP1:音を取りたい曲を決める
まずは音を取りたい曲を決めましょう。これは、あなたが好きな曲でも挑戦したい曲でも構いません。その曲の中からAメロやサビなど、どこか1フレーズを決めてください。
STEP2:一定に息を吐ききる
次に、決めたフレーズに合わせて一定に『スーー』と息を吐いてみてください。大切なのは歌のメロディが上がっても下がっても、息の強弱を変えずに、前に向かってまっすぐ一定に吐くことです。
STEP3:息の量を確認する
1フレーズを息で吐ききったら、いつも歌う時に同じだけの息を出せていたか思い出してみてください。おそらく、普段は声や音程ばかりを意識していて、ここまで息は出ていないのではないでしょうか?
普段歌う時にも、今と同じだけの息を出せるよう意識しましょう。
STEP4:ブレス(息を吸うところ)の位置を確認する
次に原曲を聴いて、その1フレーズの中でアーティストがどこで息を吸っているのかを確認してみましょう。もし可能なら、歌詞をノートなどにメモして、ブレスの位置に印を付けるとより分かりやすくなります。
STEP5:録音しながら息の流れを意識して歌ってみる
次に、自分の歌声を聴き返せるよう録音機器を用意してください。といっても、お持ちのスマートフォンについている録音機能で十分です。
録音の準備ができたら、先ほどのブレスの位置を確認しつつ1フレーズを声に出して歌ってみましょう。この時、ブレスの位置までは最後まで気を抜かず、息を前に出し続けることが大切です。
このやり方で歌うと、いつも歌うのと比べてかなり声が楽に出てきます。音程が取れているか不安かもしれませんが、気にせずに歌ってみてください。
STEP6:繰り返し確認しながら発声を身につける
歌い終わったら、さっそく録音した歌を聴いてみましょう。すると、いつもの歌声に比べて声が響いていたり、特に意識していないのに音程が良くなっているのを感じるはずです。
慣れてきたら、今度は別のフレーズに挑戦してみましょう。ここでもブレスの位置や、息の量が足りているかを常にチェックします。
録音と確認を繰り返して、息への意識が自然とつくようにしましょう。
音程を意識しすぎないことが大切
繰り返しになりますが、発声においてまず大切なのは「声」ではなく「息」を意識して歌うことです。
多くの場合「音程を外したくない」などの意識が正しい発声の邪魔をしている可能性が高いのです。先に息使いさえ身についておけば、音程や声量などは後からついてきます。
いつ、どんな歌を歌う時でも、自然と息を意識して歌えるよう体で覚えていきましょう。
まとめ
いかがだったでしょうか。音程やリズムの取り方、腹式呼吸やミックスボイスなど、歌には多くのスキルやテクニックがありますが、今回お伝えした声の出し方は、そのすべての土台となるものです。
逆に言えば、どんな歌の練習をするにしても、この声の出し方ができていないことには思うような上達は見込めないでしょう。
発声練習は、日常会話やプレゼンなどの仕事の場面でも活用できる、まさに一生もの。ぜひ、「息」を意識した発声を身につけ、これからの歌の練習に取り入れていってください。