テレビなどでアーティストが声を揺らしながら歌っているのを、あなたも観たことがあると思います。この声を揺らすテクニックのことを「ビブラート」と言います。
比較的よく耳にするテクニックの一つですが、実は日頃歌の練習をしている人でも「ビブラートがうまくかからない」と悩んでいる人は多いのです。また、ビブラートといっても出し方によっていろんな種類があることを知っていますか?
そこで今回は、ビブラートとはどんなテクニックなのか、そして種類別のビブラートの特徴についてお伝えします。
ビブラートとは
最初に軽くお伝えしましたが、ビブラートとは息を強弱させて声を一定に揺らすテクニックのことをいいます。
あなたも試しにやってみたり、カラオケの採点機能で見ると「勝手にビブラートがかかってた」なんて経験もあるかもしれません。続いて、そんなビブラートのメリットと注意点をみていきましょう。
ビブラートのメリットと注意点
これは、あとで紹介する4つのビブラート全てに言えることですが、歌詞の語尾などにビブラートをかけることで言葉に余韻が生まれたり、綺麗に聴かせられることがメリットでしょう。
一方でデメリットとしては、ビブラートをかけるのは楽しいのですが、歌のフレーズを選ばず何にでもかけると、くどく聴こえることがあるので気をつけましょう。ビブラートを使用する箇所を選ぶのは一つのセンスといえます。
体を使う「場所」でビブラートは変わる
ビブラートが使われている楽曲は山ほどありますが、実はアーティストによって、もしくは楽曲によってビブラートの出し方は大きく異なります。
その理由は、ビブラートをかけるために息を強弱させる体の「場所」が複数あるからです。そして体のどこでビブラートをかけるのかによって、その難易度や聴こえ方も変わってきます。
それでは、具体的にどんな場所を使ってビブラートができるのか、そして各ビブラートごとにどんな違いがあるのかを紹介します。
4種類のビブラート
ビブラートには4種類のかけ方があります。それが、
・横隔膜でかけて出す「横隔膜ビブラート」
・喉でかけて出す「喉ビブラート」
・顎でかけて出す「顎ビブラート」
・音程を上下させて出す「音程を変えるビブラート」
の4つです。詳しく見ていきましょう。
1:横隔膜ビブラート
横隔膜ビブラートとは、横隔膜を動かして息を強弱させ、それを均一に繰り返すことで声を揺らすビブラートです。
他のビブラートに比べてもっとも習得が難しいのですが、その分、とても綺麗なビブラートをかけることができます。また、横隔膜の動かし方がわかれば、喉に負担をかけずに歌にアクセント(抑揚)をつけるなど、他の技術にも応用できます。
難易度が高い分、メリットも大きいビブラートです。
横隔膜ビブラートが使われている曲
横隔膜ビブラートが使われてる楽曲の中でも綺麗に、そして曲の至るところで使われている例として、森山直太朗の「さくら」を紹介します。ぜひ聴いてみてください。
2:喉ビブラート
喉ビブラートとは、喉を動かして息を強弱させ、それを均一に繰り返すことで声を揺らすビブラートです。
喉ビブラートは「ちりめんビブラート」とも呼ばれています。特徴としては、声が震えるようなビブラートがかかります。喉が締まりやすいビブラートなので、練習する際は喉を痛めないように注意することが大切です。
喉ビブラートが使われている楽曲
このビブラートを使っているアーティストでは宇多田ヒカルが有名です。ここでは「あなた」という楽曲を紹介しておきます。
3:顎ビブラート
顎ビブラートとは、顎を動かして息を強弱させ、それを均一に繰り返すことで声を揺らすビブラートです。
これは演歌でよく使われるビブラートです。顎を上手く上下させることによって息の量が変わり、その強弱がビブラートとなります。ここでは石川さゆりの「女人荒野」を紹介しておきます。
4:音程を変えるビブラート
これはメロディを細かく上下させて、声が揺れているように見せるビブラートです。実際に声を揺らすのではなく、あくまでも、そのように「見せる」だけなので、正直ビブラートと呼ぶかは賛否両論あるところです。
このビブラートのわかりやすい楽曲が見つからなかったので、動画の紹介は省略しますが、主にミュージカルの楽曲でよく使われている印象を受けます。
ビブラートを身につけるには?
紹介した4種類のビブラートごとに練習の内容はそれぞれ異なります。全部のビブラートを同時に練習するとごっちゃになってしまう可能性があるので、出したいビブラートを選び、一つずつ習得していくのがオススメです。
各ビブラートの練習方法については、それぞれ以下の記事で解説しています。ぜひ読んで実践してみてください。
まとめ
いかがでしたでしょうか?今回はビブラートの特徴や種類について紹介しました。興味があれば、ぜひ自分のテクニックとして身につけてもらえたらと思います。
一方で、私がボイストレーナーをしていて思うのは、ビブラートの練習をずっと続けていても、なかなか身につかない人がいることです。
どのビブラートも基礎があればこそなので、テクニックを覚える前に、まずは正しい発声から習得しておくのも一つでしょう。