カラオケの採点機能などで『しゃくり』という項目を、あなたも目にしたことがないでしょうか。「そんなの使った覚えがないのに、すごい回数しゃくりをしていた」なんて経験もあるかもしれません。
そこで今回は、しゃくりの言葉の意味や特徴、しゃくりを使った楽曲の具体例を紹介していきます。
しゃくりとは
しゃくりとは発声する時に音を切らずに、下から上に音程を上げるテクニックのことです。
「ウーーッ」と鳴るパトカーのサイレンや、ギターの『チョーキング』をイメージするとわかりやすいのではないでしょうか。
また、音を切らずに発声することを『ポルタメント』といいます。つまり、しゃくりはこのポルタメントを使ったテクニックになります。
しゃくりの具体例
それでは、実際にしゃくりが使われている楽曲を聴いてみましょう。
斉藤和義/歌うたいのバラッド
こちらの曲では、サビの「♪今日だってあなたを思いながら」の部分にしゃくりが使われています。(動画の1:40あたり)
具体的にみてみると、「♪今日だって」の「き」、「♪思いながら」の「も」、「♪言葉がある」の「が」、「♪聞いておくれ」の「い」の部分です。
しゃくりの2つのメリット
次にしゃくりを使うことのメリットを紹介します。
メリット1:感情を入れて歌っているように聴こえる
しゃくりを入れると歌が喋り声に近づきます。自分でも喋っているような感覚になるため、より感情が入りやすくなるんです。
メリット2:歌が滑らかに聴こえる
しゃくりとは音を繋げることです。なので、上手く使えば言葉と言葉の切れ目がなくなり、とても滑らかに聴かせられます。
しゃくりのデメリット
逆に、しゃくりを使い過ぎると歌全体が粘っこくなり、どこか『上手い風』な感じになってしまいます。一曲全てにしゃくりを入れるのではなく、聴かせたい部分に効果的に使っていくのがポイントです。
カラオケで採点されてしまう理由
少し余談ですが、カラオケでしゃくりを使ったつもりはないのに、しゃくりが採点されてしまうのはなぜでしょうか。
それは多くの場合、歌の中で出したい音を下から当てにいくからです。これは「音を探っている」ともいわれます。
歌っていて「これ、音程どうだったけ?」と音を探しながら歌ってしまうことってありますよね。その時にカラオケ機器が勝手にしゃくりだと判断してしまいます。
このやり方で歌うと勝手にしゃくりが採点されるばかりか、喉を締めやすく声の質も落ちてしまうんです。
そうならないためには、音程を頭に入れておくこともそうですが、それ以上に『息』を意識して歌うことが大切です。正しい息使いができれば、喉も締まらなくなりますし、音程も取れるようになります。
効果的なしゃくりの使い方
最後に、歌の中で用いると効果的なしゃくりの使い方を紹介します。
しゃくりの用途は様々ですが、特にサビの部分など強調したいメロディや歌詞の部分で用いると効果的です。上記で紹介した『歌うたいのバラッド』がまさにそうですね。また、しゃくりは発声の時に一度低音を通るので厚みのある歌に聴こえます。声を太く出したい時にも使ってみると良いですね。
しゃくりの出し方は?
しゃくりを出すためのポイントや具体的な練習法については、以下の記事で書いているので、ぜひチャレンジしてみてください。
まとめ
しゃくりをうまく使えるようになれば、歌に感情的な表現が生まれ、聴き手を歌に引き込むことができます。
一方で、音程を意識するあまりカラオケで勝手に採点されてしまわないようお気をつけください。大切なのは、自覚して出したい時にしゃくりを出せるかです。