今回は『ヘッドボイス』の出し方を解説していきます。
前提:ヘッドボイスを練習する前に
まず、ミドルボイスの出し方の解説の前に以下の点を押さえておいてください。
1:ヘッドボイスはミックスボイスの1つ
このサイトでは、ヘッドボイスはミックスボイスの種類の1つ、として扱います。
と言うのも、人によってヘッドボイスやミックスボイスの定義が違っていて、教え方が異なる場合があるからです。これはどの定義や教え方が間違いと言うことじゃなく、解釈が違うということです。
2:ヘッドボイスを出すまでの4ステップについて
このサイトではヘッドボイスを出すための近道として、大きく分けて4つのステップが必要なことを別の記事で紹介しています。それが、
- STEP1:ミックスボイスの3つの前提知識を知ろう
- STEP2:ミックスボイスを出すための4つのトレーニングをやろう
- STEP3:ミックスボイスの感覚を覚えよう
- STEP4:ミックスボイス(ミドルボイス・ヘッドボイス)を練習しよう
の4つで、この記事はそのうちのSTEP4に当たります。
なので、
「他のステップについて知らない」
「そもそもミックスボイスってなに?」
といった場合は、まず以下の記事を読んでヘッドボイス(ミックスボイス)の全体像を理解してもらえればと思います。
ヘッドボイスの出し方
それでは、ここからヘッドボイスの出し方を解説していきます。
STEP1:声を響かせる場所を上咽頭に絞る
自分が出したい声を思い通りに出すには、声をどの部分で響かせるかを意識することが大切になります。
そしてヘッドボイスの場合、響かせる場所は上咽頭[じょういんとう]です。上咽頭とは、鼻腔の奥の方にある場所のことです。
ヘッドボイスはこの上咽頭の一点に向けて、声を響かせるのがポイントになります。
コツとしては後頭部に意識を持っていくことです。頭のてっぺんから拳一個分後ろの辺りに、実際に手を当てます。そこに向かって発声するイメージを持ってください。
STEP2:裏声で「がっ」と発声する
次に、上咽頭に声を響かせるイメージのまま、あなたにとって高めの裏声で「がっ」と発声してみましょう。
キーで言うと、男性ならB4(高いシの音)、女性ならE5(高いミの音)辺りが平均です。
ふわふわしていない、ちょっとでも輪郭のある裏声を目指して発声してみましょう。しっかりと「がっ」と発声できると、息もれの少ない声が出てきます。短く切るのがコツです。
この時、喉が締まったような感覚になったら、それは喉で音圧をかけているため「喉声」になってしまいます。この境界線の判断がとても難しいのですが、ダミ声みたいになったら、もし強く発声できたとしてもヘッドボイスにはならないので注意してください。
STEP3:喉を締めないまま強く発声してヘッドボイスにする
STEP2ができた上で、最後に上咽頭に響きを絞りながら「ががががごごごご」と発声しましょう。
大切なのは「が」と「ご」が同じ声質になるようにすることです。恐らく最初は「ご」の方が淡い感じになってしまいます。これが「が」と同じような響きになるまで練習してみてください。
そうすると、地声とは感覚が違うけど裏声でもない声が出てきます。これがヘッドボイスです。
まとめ
ヘッドボイスをより強いものにしていくには地声の筋肉(声帯閉鎖筋)と裏声の筋肉(輪状甲状筋)を鍛えて、響かせる場所を正確にしていかなければいけません。
ヘッドボイスの習得が難しいのは、どの筋力が足りないのかの判断がつきづらいこと、そして足りない筋肉を付けるのに時間が必要なことです。
手っ取り早く身につける方法はないので、ゆっくりでもしっかり練習してヘッドボイスを出してみてください。